所長からのごあいさつ

三好 功峰 精神衛生研究所は、永年、西宮市武庫川町において現在の兵庫医科大学の母体となった財団法人武庫川病院に併設されていましたが、平成2年には、仁明会赤い羽療園とともに、西宮市甲山に移転して研究活動を行ってまいりました。このたび、西宮市越水町に開設された仁明会地域精神医療センターに場所を移し、新たに活動を始めたところです。民間の研究施設ですので、大学に附属するものや公的な精神医学の研究施設とは、その目的もおのずから異なり、より日常臨床に関連の深い問題について研究し、知識を集積し、実際の臨床に生かすということを目的としています。

 私自身は、兵庫医科大学、京都大学、さらには兵庫県立高齢者脳機能研究センターなどにおいて、永年にわたり、老年期の精神障害、ことに、認知症など大脳障害による精神障害の問題に関わってまいりましたので、当面の研究テーマをアルツハイマー型認知症、血管性認知症、老年期うつ病の精神症状や治療などに絞っています。このような研究活動は、あくまで日常臨床の質を高めることが目的ですので、今後も、精神科医療の現場において問題となるような身近なテーマを広く取り上げていきたいと思っています。幸い、このセンターには、仁明会クリニック(精神科外来)、精神科『デイケア とも』 、『訪問看護ステーション はんず』などが併設されていますし、今年から仁明会病院の前看護部長で永年にわたり精神科看護のシステムの確立や教育に携わってきた大塚恒子が副所長として就任しましたので、現場での実践を通して明らかになる課題を対象とした研究活動が大きく広がるものと期待しています。

 精神衛生研究所は、今後、研究活動を通して、精神科医療の質の向上に、なにがしかの寄与をすることができるように努めていく所存です。また、このようなかたちで集積された知識や知見は、当研究所の機関誌「仁明会精神医学研究」などにおいて論文として発表するとともに、一般医療機関や精神科に勤務する看護職員、地域の看護専門職などを対象とした研修活動を通して広く知っていただくよう努めたいと考えています。

一般財団法人仁明会 精神衛生研究所 所長  三好 功峰 (京都大学・兵庫医科大学元教授)